2016年 03月 14日
< Design Week Kyoto ゐゑ 2016 に行ってきた >
「Design Week」とはこれまで世界100以上の都市で開催され、1週間という期間中にその都市にある工房や工場、スタジオなどをオープンにしたり、ワークショップやトークショー等のイベントの実施を通じて、国内外のあらゆる人たちがその街のモノ、コト、そしてヒトと交流しあう場と時間を創出する、というものです。
そして先月、京都で「Design Week Kyoto ゐゑ 2016」が初開催されました。
京都には工芸や芸能、アート、意匠、建築、ハイテクなどたくさんあるものの、どこか敷居が高くどこをどう訪ねていいやらわからない。
で、結局観光客はもちろん地元の人ですら「京都を知らない」ということにもなっています。
今回京都で解放されたのは全部で130ヶ所。
1週間のあいだ、いつもどこかで何かしらの工房が開かれ、ワークショップが行われていました。
とても全部を回るというわけにもいかないので、今回私は二つの工房を訪ねてみました。
まずは「京都刺繍修復工房 - 和光舎」さん。全国でも珍しい刺繍専門の修復工房です。
普通にご家庭やお寺に受け継がれた古い刺繍の修理と修復を行っておられ、年間約140枚の修復依頼が来るそうです。
依頼されるものも100年、150年前に作られた古い刺繍を中心で、この日修復作業をされていたものは250年前のものだそうです。
この刺繍は京都祇園祭で使われているもの。
依頼主からは初めての修復と聞いて持ち込まれましたが、作業に当たり調べてみると実は250年の間に3回、修復の跡があったそうです。
長い間修復を繰り返し、、大切に大切に代々と受け継がれてきたものであることが分かったそうです。
今年の祇園祭では実際に使われるそうですが、どこで使われるのか。
公には出来ないので書けませんが、祇園祭の楽しみがひとつ増えました。
何百年も前の職人さんが一針一針縫い上げた刺繍がこういう方たちの手により再びよみがえる。
受け継がれた込められた想いが、鮮やかに輝いていました。
もう一つお伺いしたのが「つづれ織工房 おりこと」さんです。
西陣にある京町屋、その中でも「織屋建(おりやだて)」という構造の町屋に工房を構える「おりこと」さん。
あまりにも古く現在改装中ではありますが、建物のあちらこちらに当時の面影が強く残る、とっても風情のある町屋でした。
「つづれ織り」ってご存知ですか?
つづれ織りとは横糸だけで文様を表現していく織り方の技法のひとつです。
とくに西陣だけの技法というわけではありませんが西陣では、「爪掻本綴織(つめかきほんつづれおり)」という西陣独特の技法に昇華し、伝えられています。
爪掻、とあるように手の爪をギザギザにカットして横糸を爪で織りこんでいく技法で、西陣織のなかでも高度な技術が必要とされています。
こちらの工房には森さんという職人さんがおられました。
若い方ですが西陣の織元で帯の職人として勉強され、その後独立。
一般的な綴織よりも細い糸を用いた細かな柄と、綴織の特徴である立体的な作品づくりをされています。
糸の一本一本も、自分がイメージする色が無ければ特別に注文して使用しているそうです。
とても細かな作業のため、一日頑張っても1センチしか進められない、なんてこともしょっちゅうあるそうです。
しかしそうしてできたつづれ織りはとても繊細で立体感のある織物となっていました。
京都では、着物や帯を作る工程にはたくさんの職人さんが関わっています。
そしてそういう世界は表にはほとんど表には出ず、一般には目にすることが出来ません。
以前「京友禅と革の融合、皮革染職人を訪ねて」で訪ねた職人さん。
今も仲良くさせていただいていて、何とか京都の職人さんをご紹介いただこうとしたのですが、
その方をもってしても今だ実現できていません。
だからこそ伝え続けられているものもあるのかもしれませんね。
そんな中での今回のイベントは私にとっては本当に貴重なものでした。
もっともっと、色んな世界を知ってみたいし見てみたい。
ってことで、まだまだ「職人シリーズ」、続けていきたいと思います(^o^)丿
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by revoir-dima
| 2016-03-14 22:00