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< 飛騨古川・きつね火まつり >

「きつねの嫁入り」という話を聞いたことがありますか?

岐阜県は飛騨の山奥、古川では古くからこの民話が脈々と語り継がれています。
こんな話です・・・・

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昔むかし、飛騨の古川の人たちは五穀豊穣のために狐を神さまとして祀っていました。
狐神のおかげか、毎年豊かな実りとなりとても感謝しておりました。
ところがこれを面白く思わない水の神である大蛇が、その腹いせに田畑から水を枯らしてしまい、
村人たちはとても困りました。

あるとき古川を治める殿様が、ひとりの美しい娘を助けました。
なまえを「おこん」といいました。
大変賢い娘で、水枯れした古川の土地に水路を作ることを考えました。
早速水路を作ると里には水が戻り、村の田畑には実りが戻りました。

おこんをとても気に入った殿様は、おこんとの祝言を決めます。
その時とつぜん大蛇が殿様を襲ってきました。
そこへ一匹の狐が出てきて蛇を退治しました。なんと、おこんの正体は狐だったのです。

殿様はおこんがたとえ狐でも祝言を挙げることにしました。
そして、二人は嫁入りの行列を行います。
嫁入り行列の途中、またも大蛇が飛び出し、おこんに襲いかかってきました。
すると今度は煙がたちのぼり、二匹の大きな狐が現れて、大蛇の首を押さえると大蛇は倒れ、
大きな一本の縄になってしまいました。

その後、無事祝言が行われ、夜遅くまで宴が続きました。
こうして殿様とおこんはめでたく結ばれ、いつまでも幸せにくらしました。

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なんともロマンチックなお話だと思いませんか?
毎年9月、古川ではこのお話を具現化した「きつね火まつり」が行われます。

前記事の「色和衣」のあと、まつり会場に行くとすでに大勢の方が来られていました。
もちろん皆さんきつねメイク。ここではきつねメイクをしないと、かなり浮いちゃう感じです(^_^;)
 
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しばらくすると今年のきつね役のご夫婦さんがやってきました。
鯉の泳ぐ、きれいなお堀の傍に立ち、しばしお披露目です。
 
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とっても可愛いお嫁さん。大勢の方々から「おめでとう!」と声をかけられていました。
というのもこのご夫婦、本当に新婚さんなんだそうです。
毎年その年に入籍されたご夫婦の中からこの役が決められるそうです。
 
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陽が落ち、辺りが暗くなるときつねの行列たちが町を歩きだします。総勢70人の行列です。

かがり火と提灯のみが道を照らすなか、松明を持ったきつねの使者に先導され、
黒紋付きのきつねや提灯を持つきつねの巫女さん、シャン、シャンと鈴の音を鳴らしながら歩くきつね巫女に狐神。
そして、きつねのご夫婦が続きます。
 
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彼らが歩く道中には民話の通り、龍が襲ってくる場面もちゃんとあり、狐神が退治します。

真っ暗な、本当に真っ暗な道と松明ときつねの行列。
なんとも神秘的で何とも不思議な光景です。
 
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さて、そもそも「きつねの嫁入り」の語源や民話はどこからきているのでしょうか。
行列を見ながら少し、解説しますね。
 
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昔から日が照っているのに急に小雨が降ることを「きつねの嫁入り」といいました。
このことは耳にされた方も多いと思います。
ではなぜそう呼んだか。

夜、遠くの山間部に青白い、不思議な火がいくつも連なる現象があるそうです。
調べてみてもその原因は不明で、リンが燃えているという説をよく見かけます。
その連なる様子を、狐が嫁入りする提灯に見立てたそうです。
 

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青白い火を「きつね火」と呼び、狐の口から吐き出された火という奇怪なものとして恐れられていました。
そして「日が照っているのに雨がぱらつく現象」を、狐火の怪しさのようであることにたとえて「狐の嫁入り」と
いうようになりました。

また、狐火が連なる様子がいつしか民話となり、昔話「きつねの嫁入り」となったそうです。
 


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さて、そろそろ行列が戻ってきました。


 
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町を練り歩いた後はお祭り広場に戻ってきます。そして、婚礼の儀が執り行われます。

祝言を挙げ、華やかな舞で二人を祝福します。
 
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こうして、きつね火まつりは終わりを迎えます。





夜、耳を澄ませてみてください。もしも遠くで「コーン、コーン」という声が聞こえてきたら、
どこかできっときつねが嫁入りしているかもしれません。

そんな時はぜひ空を見上げ、そっと「おめでとう」と言ってあげて下さいね。
 
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by revoir-dima | 2012-10-01 22:04