2014年 04月 29日
< ある日、飛騨高山にて >
とはいえそのまま帰るのもなんだし、昨年行ったきつね火まつりの後に立ち寄った飛騨高山にあるお蕎麦屋さん「大黒屋」に寄りました。
前回紹介されて行ったのですが、蕎麦のコシ、味、乗せた貝柱のかき揚げのどれもが私好みで、美味しいんですよね〜。
今回はそんな高山で起きた、とっても不思議な出来事のお話です。
開店時間を少し過ぎた店内はまだお客さんの姿もまばら。
私とカウンターに座った男性が一人、そして一つテーブルを挟んで女性が一人いるだけでした。
私は持ってたカメラをテーブルに置き、注文した天ころソバを食べていました。
ふと横を見ると先ほどの女性が出されたお蕎麦の写真を撮っていました。
ブログとかに載せるのでしょうかね。
キヤノンの、なかなかの一眼レフで撮っています。
ふ〜ん、なんて思いながら私はまたお蕎麦を食べてました。
すると、
「あ、こんにちわ〜」
と、その女性が声をかけて来ました。
「え?あ、こ、こんにちわ」
どうも私に話しかけてるらしい。
「お久しぶりですねー、お元気でしたか?」
あれ?知り合い?
えっと・・・、誰だっけ?
「実はあの日、あの後いろいろあったんですよぉ」
「はぁ。」
スグには思い出せないまま、なんとなく彼女の話にあいづちを打つ。
あれー?誰だっけこの人。
と考えているうちにも彼女はどんどん話を進めます。
そのうち話は仕事のこと、カレシのこと、旅行に行ったことなんかに。
(それにしてもよく喋るなぁ、この人。
ていうか、マズイなぁ。まったく思い出せないよ。誰なんだろ・・・。)
どんどん話をぶっ込んでくるし、人違いなんじゃないかな、と思っても所々では知り合いじゃないと知り得ない話題も入ってくる。
ますます「どなたですか?」と聞き辛くなってきて、テキトーにあいづち打ちながら考え込んでいました。
「・・・・・・なんですよぉ、ねぇちょっと、聞いてます?」
「え?あ、うん・・・」
「でね、思い切ってカメラ、買ったんですよぉ」
と、あのキヤノンのカメラを嬉しそうに私に見せます。
「そうだ、ちょっと町に出ましょうよ!もうお蕎麦、食べたんでしょ?」
「えっ?」
「でね、私が旅してるとこ、撮ってください❤︎」
と、テーブルにある私のカメラを指差して言います。
ち、ちょっと待って・・・と言うが早いか、彼女はもうお店を飛び出していました。
仕方ないのでなんとなく後をついて行く私。
高山の古い町並みや、いろんなお店を無邪気にはしゃぎまわる彼女と、それを撮る私。
いつのまにか私もここで撮ろう、あそこはどうかな、ここで構えてみてとか言いながら撮ってました。
1時間くらい撮ってたでしょうか、いや、2時間くらいだったかもしれません。
「あぁ楽しかった!どう?いっぱいいいの、撮れました?」
「う、うん。まぁ。」
「久しぶりに会えて良かったです(^^)。お店で見かけた時、ちょっと暗〜い感じだったけど、少しは元気になったかな?」
「え?そ、そうかな・・・。いや、それよりあの・・・」
「じゃ私、そろそろ行かなきゃ。またいつか・・・ね!」
そう言って足早に彼女は通りの向こうへと渡って行きました。
そして最後に少し振り向きながら、「写真、また送って下さいね〜」
そう言って、行ってしまいました。
う〜ん、やっぱりわからない。
誰だかわからないので、送りようがないんだけどなぁ。
今ひとつパッとしない体調のまま出かけた古川祭。
そして高山。
モニタに写る、誰かを元気にさせてくれるような笑顔。
「よし、帰ろう」
と、車のエンジンキーを回す。
踏むアクセルペダルはほんの少し、軽くなった気がしました。
飛騨高山での、不思議なお話でした。
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by revoir-dima
| 2014-04-29 00:14