< 北陸紀行 ~城端・城端蒔絵と前衛書家編~ >

さて、加賀での九谷焼工房を見学した後は、山代温泉での~んびり・・・ではなく、
すぐさま車を北に向けて走らせ、富山県は南砺市、城端へと向かいました。

ここにはあるお二人の方とお会いする約束をしておりました。

富山県の城端(じょうはな)はもともと、シルクで栄えた歴史のある町です。
もともと織物が盛んであった城端、大正年間のころからは五箇山などの繭や生糸を用いた産業が発達してきました。

そんな城端で今回お会いした方は「城端蒔絵」の継承者、小原好喬さんと女性前衛書道家、山根美幸さんです。

お二方ともその道で超一級の方々。深いお話と、すばらしい技術を拝見させていただきました。

城端では地元富山のひでたつさん、金沢からお越しのじゅんやなさん、飛騨からお越しのコッチさん
そして我々二人の計5人でお伺いしました。

お二方とも、大勢で押しかけたにもかかわらず温かく迎えてくださり、ありがとうございました。
 
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最初に訪ねたのは小原好喬さんです。城端蒔絵を継承する方です。

みなさん「蒔絵」はご存知でしょうか。
蒔絵とは漆工芸技法の一つで、漆器の表面に漆で絵や文様、文字などを描き、それが乾かないうちに金や銀などの金属粉を「蒔く」ことで器面に定着させる技法です。
京蒔絵や輪島塗りなど、全国各地にその産地はあります。

なかでもこの「城端蒔絵」は日本で唯一、本来漆では表すことのできない「白」を表現する技術を持ち、小原家で代々受け継がれてきています。
その伝承は一子相伝。
たった一人にだけ、受け継がれて今日まで来ています。

「一子相伝城端蒔絵継承者、治五右衛門」を代々襲名し、小原好喬さんは第16代となります。
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過去の系譜を拝見しながら城端蒔絵の歴史を聞くと、いつの時代も受け継がれる伝統と技術を守りながら、
常にその時代時代の世相に応じた作品に挑戦し、残されてきているとのこと。

まさに「伝統と革新」を繰り返してきた歴史です。

実際の作業場も拝見させていただきました。
ここでたった一人、静かに、黙々と作業されるそうです。

ラジオやテレビ、BGMなど何もなく、ただただ静寂のみが支配する空間。

そんな中にもご自身の心の中ではリズムが刻まれており、それは黒炭で漆器を磨く音であったり、
金粉や銀粉を入れた竹を指ではじきながら蒔く音であったり。

思わず息を止めてしまいそうなお部屋でした。

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由緒正しく、日本の工芸技術のきわめて重要な方でありながら、お話しさせていただくとこれが実に爽やかで気持ちのいい方でした。
私はかなり緊張してお伺いしたのですが、失礼ながらすぐに友達の家にでも来ているかと思うくらい
フランクに、偉ぶらず接してくださり、「あぁ、本当に魅力的な方だな」と思いました。


この後は小原さんの実際の作品を拝見、撮影させていただきました。

私たちの目の前に置かれた漆器。実に美しく、本当に綺麗。正直、呑まれてしまいました。
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蒔絵だけでなく、城端の、富山の、日本の伝統技術をいかに広め、後世に残すか。
ご自身の精進とともに、常にそうしたことに熱く情熱を向けられていました。

本当にお忙しい中、時間を作って下さりありがとうございました。
また、Facebookでも繋がりを持たせていただき、ありがとうございました。




小原さん宅を後にし、次にお会いしたのは前衛書道家、山根美幸さんです。

初めてお会いしたとき、「え?こんな方が本当に私なんかと口をきいていただいていいのか!?」って思うくらいお綺麗な方。
ところが実際お話ししてみると、なんといいますか、すごく気さくで、おっとりされていて、とっても素敵な女性でした。
最後には山根さんともFacebookでお友達にならせていただきました。

書道家、中でも前衛書を極めておられ、プロフィールを拝見させていただいたのですが数々の活動受賞歴をお持ちになる、本物の書家です。

書道における「前衛」はお分かりになられるでしょうか。
シロートなので失礼な表現ですが、文字を極端に崩した、一見グチャグチャな字を書く、あの書道です。

もちろん適当に書いているわけではなく、計算し尽くされた崩し方、再構築で成り立っており、その技術は超一級なのです。

凛とした心を保ち、常に新しい世界を求めて日々自分の内外を追求されておられる。

ここにも、イノベーションがありました。


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その山根さんに、ご無理を言って書を書いていただきました。

それまでおっとりとして、ゆるーい感じで話されていたそのお顔が一瞬で変わり、空気が一変します。

畳一条ほどの紙にダイナミックに筆を走らせます。

写真を撮るのも忘れるくらいの緊張感。

すごいものを拝見させていただきました。

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本来は何枚も何十枚も書いて、ようやくひとつの作品ができるとのこと。
今回のようなデモンストレーション的に書いたものは「作品」ではないので写真はNGでした。



お二方の取材を終えると、すっかり夜も遅くなっておりました。
いやはや、すごい夜でした。

お二人とご一緒させていただいた数時間があっという間でもあり、本物が放つ重厚な空気に逃げ出したくなるほど永遠に思えたり。

本当にありがとうございました。
心より感謝し、お二方のご発展をお祈りしております。

富山県城端とは、こういう方々を輩出する、かくも素晴らしい風土のある町でした。


山根さん家を出るとき、家の前にはホタルが飛んでいました。





さてこのあと砺波で一泊し、次の日向かったのは石川県金沢。
次回、金沢編に続きます〜(^o^)/













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この日はお疲れのところ、遅くまで頑張りましたよねぇ~

日本を代表する伝統工芸を目の当たりにする機会は
そうそうありませんが、、、
勉強になりました。

Dimaism炸裂してますね~
特に、最後の一枚は、浮き上がって見えます~
すごいですヽ〔゚Д゚〕丿
Commented by monsukewc at 2013-07-01 22:51
うんうん、写真のきれい、奥深さが、素晴らしい!
一枚目の写真も、かっこいい!!
小原さん、山根さんのパワーに負けない写真ばかりです^_^
金沢編も期待です!
TBいただきます。
Commented by FLEKTOGON35 at 2013-07-02 08:36
継承者、すごいオーラを感じる方なんでしょうね。
私はまだそのような方とお会いしたことがありませんが^^;

そのオーラを感じるとシャッターを切ることを忘れてしまいそうです。
いや、逆にそのオーラをおさめようと頑張ってシャッターをきってしまうかな...

Commented by sasa920 at 2013-07-02 14:12
こんにちは(^^
前衛書家 綺麗な方ですね♪
漫画「とめはね!」見てますが
前衛は 少なくなってるようです。
表現が全て なかなか大変だと思います。
直に見ると 迫力あるのでしょうねー
緊張感が伝わってきます。
ちゃんとした作品になると シャッターも 誰も受付ないのでしょうね。
Commented by Focus_Lock at 2013-07-02 20:47
こんばんは(^^♪
本当の蝶が飛んでいるように見えます!
普段、なかなか接することがない世界なのでとても惹きこまれます。
静寂のリズムも伝わってきました。
目の前で見ると何十倍も凄いのでしょうね。
Commented by revoir-dima at 2013-07-05 10:42
> cotti6102 さん

貴重なものを見せていただけましたね。
小原さんや山根さんにも感謝ですが、この機会を作っていただいたことにも感謝です。
撮った写真は後悔ばかり。経験値が圧倒的に少なすぎます。修行しなきゃですよぉ。
Commented by revoir-dima at 2013-07-05 10:45
> monsukewc さん

私の写真ではこれが精一杯。技術とセンスの浅さがよーくわかりました。
経験も必要ですが、もっともっとたくさんの写真を見ないとダメだと実感しています。
Commented by revoir-dima at 2013-07-05 10:49
> FLEKTOGON35 さん

ほんと、そんな感じですよぉ。気がつけば手を止めて見入ってる。「あ、撮らなきゃ」とまたファインダーを、覗く。
そんな感じでした。
ますます、色んな写真を撮って経験積みたくなりましたぁ。
Commented by revoir-dima at 2013-07-05 12:34
> sasa920 さん

そうですね。インスピレーション、イマジネーションがありすぎて、ベストを探すのが大変そうに思えます。
そういったことを越えられてる方の、ダイナミックな様子は本当に迫力ありました。
感動です。
Commented by revoir-dima at 2013-07-05 13:11
> Focus_Lock さん

おっしゃるように私も、普段は接することのない世界です。
それだけに興味もあり、ぜひ見せていただきたいとお願いしました。
今回は作品の魅力もさることながら、お二方の魅力に引き込まれた感じです。
Commented by gohda_takeshi at 2013-07-06 11:36
日本の芸術っていうのは本当に繊細であり且つ大胆で本当に素晴らしいですよね!

そういった部分を写真に写し止めるdimaさんの腕もまた素晴らしいですね!

蝶の絵柄の漆器は本当に美しいです(*゚▽゚*)
Commented by revoir-dima at 2013-07-06 23:52
> gohda_takeshi さん

おっしゃるとおり、本当に美しく、素晴らしいんです。
そんな表現しかできないのが歯がゆいです。

私の写真は、それをストレートにすら表現できず、正直、あれほど頑張って撮ったんだけどなぁって感じ。

やり直しのきかない、貴重な体験だったのに・・・です。

蝶の蒔絵、繊細な白と黄色のグラデーションは綺麗でしたー。
本物はもっともっと深みがあっだんですよ。。。

by revoir-dima | 2013-07-01 21:32 | Trackback(2) | Comments(12)