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< 串柿の里・四郷に行ってきた >

和歌山県と大阪の県境、紀ノ川の清流を望む標高約300メートルの山間地には「日本一の串柿の里」があります。

ここの四郷地区(広口・滝・東谷・平)は、400年前から串柿の特産地として長い歴史と伝統を育んできました。
11月初旬、あかね色の串柿は玉のれんのようで、晩秋の風物詩として村を黄色く染めます。

そんな四郷地区に行ってきました。
 
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見渡す限り柿だらけです。何列にも吊るされた串柿と山々の風景。日本の原風景のひとつです。
 
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11月に入ると、串柿の作業が始まります。吊るされた一面の柿を見に、大勢の方が来られます。
見頃は11月10日前後から約5日間が目安。それ以降は、味わいのある飴色に変わり、11月末には取り入れられます。
 
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一本の串柿には10個の柿が刺し並べられています。その由来は家族の和と幸せを願い「新玉の年の初めに夫婦ニコニコ(2個2個)仲睦(6つ)まじく」という思いが込められています。
 
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色鮮やかで、見に来た人の目を楽しませてくれるこの光景ですが、作業そのものは本当に大変です。
村で作業をされている方に話を聞いてみました。

今でこそこうして吊るされていますが、まずこうなるまでが大変。
柿をもいでへたを取り、皮を剥いて串に刺し、そして吊るす。これが本当に大変なんだそうです。

吊るした後は写真のように平たく伸していきます。
工程の途中からは機械で行いますが最初はこうして一つずつ人の手で行います。
 
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伸しては吊るして乾燥し、また伸しては吊るす。この工程をとにかく繰り返します。
最低でも6回は行うそうです。吊るしている柿を全て、です。
やがで柿の糖分が外へ出てきて、白い粉がついてくると完成です。
 
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ご覧のように吊るされた串柿ですが、雨が降ったらどうするのか。
全部室内に仕舞うそうです。

ただ、雨も敵ですがもっと厄介なのが風だそうです。
風が吹いて柿どうしがぶつかると、そこから黒く変色していってしまうそうで、これがひどくなるともう商品にはならないそうです。
 
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これほど手間暇かけて作る串柿ですが、その用途は主にお正月用。
車に飾る注連縄に使ったり、鏡餅に乗せたりです。

出荷はほどんどが関西のみ。他地域ではそもそも柿を使わないなど、需要そのものがあまり無いそうです。
その関西でも最近では需要が減り、一所懸命作っても売れないそうです。
かつては串柿が1本4.000円ほどで売れたそうですが、今では半値ほどだそうです。
 
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日本一の串柿の里。いつか無くなってしまう運命にあるのでしょうか。
 
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もうすぐお正月。今年は干し柿を飾ってみようかと思います。










by revoir-dima | 2012-12-04 22:43